米人英語教師が茂木英語教育論に関心を示す


世界出版のホームページ(http//www.sekai-shuppan.com )は、日本語学習と英語学習の教材販売が出発点であり、英語教育論も派生的に載っています。茂木弘道の本のところに、「文科省が英語を壊す」(中公新書ラクレ)という拙著のことを紹介しておりますが、アメリカ人の英語教師からこの本に興味を覚えたので、インタビューしたいというメールが来ました。

わたしは名古屋市立大学の外国人教師のマーク・リバックmark
Rebuckと申します。
茂木先生の『文科省が英語を壊す』中公新書を読んで感動しま
した。
わたしは茂木先生とのインタビューを「全国語学教育学会」JALT
(The Japan Association for Language Teaching)
のThe Language Teacherという月刊誌に載せたら、全国の英語
の先生にとって示唆に富んだ、刺激的な物になると思います。
特に外国人の英語の先生は茂木先生の意見に触れることができ
ないので、ぜひとも英語でインタビューを書きたいと思います
。『ハンバーガー英語』教育に偏っている多くの外国人の英語
の先生にとって考えされせる話になると確信しています。
文科省が英語を壊す』に書いてあることについての茂木先生
の意見、とくに受験英語の重要性、英会話重視と学力低下との
関係、英語教育においての大学の役割などについてもうちょっ
と詳しく聞きたいです。The Language Teacher の編集長と話
して、もし茂木先生とのインタビューが実現したら、その記事
を掲載することの承諾をうけました。
茂木先生はとてもお忙しいと思うのですが、一度、お会いして
お話を直接うかがうことはできないでしょうか。インタビュー
は英語でも日本語でもかまいません。インタビューに承諾して
もらえばまえもって質問を送っておきます。もちろん、原稿を
出す前に茂木先生に送りますので、内容を確認してもらえます
。ぜひご検討してください。お返事を楽しみにしています。

正直嬉しいですね。正論を言っているつもりですが、なかなかベストセラーにならない悲哀をかこっていましたが、やっぱり分かってくれる人がいるんだ!というのが率直な感じです。有頂天になっているわけではありませんが、インタビューを断るはずはなく、3月の上旬においでいただくことになりました。

本当の話、英語は神様語でも何でもありませんし、ちょっとした英会話などはほとんどものの役にはたちません。国際化と日常程度の英会話ができることとの間にはほとんど何も関係はありません。随分英語をやってきたつもりなのに、アメリカ人と会ってみたら全く会話ができない、聞き取れないし、言葉がちっとも出てこない。多くの人がこういう体験をして愕然とする。そして一体自分の習ってきた英語はなんだったんだと思うようになるわけです。しかし、本当は愕然となどする必要はないのです。英会話はスポーツなんです。いくらテニスのやり方を教室で教わっても実際テニスをやってみたらちっとも思うようにできない、といって愕然とする必要がないのと同じで、英会話というスポーツのトレーニングを「すればよい」だけのことです。そうすれば、それまでにやってきた英語が生きてきてものをいうことになるのは言うまでもありません。それを本末転倒して、自分ができないからといって「英会話こそが英語力主体」などと思い込むとろくなことになりません。

使える英語、というものを良く考えていくと、それはちょっとした日常会話などではなく、ビジネスができる英語力だ、ということが分かってくるはずです。ビジネスとは広義に考えて、要するに仕事です。いわゆるビジネスマンが圧倒的に数が多いでしょうが、大学の研究者、官僚なども当然含まれます。海外と関連する仕事をする人がその仕事を不自由なくできる英語力、それが使える英語です。ビジネスというと会話、とすぐ思う人もいるかもしれませんが、屋台の夜店ではそうかもしれませんが、圧倒的多数の主流のビジネスは、文書が第一です。正確に読めなければ仕事になりません。そして書けなくては。特にインターネット時代は、大量の文書をスピーディーに処理しなければなりませんので、読む力、そして書くちからが以前にも増して要求されます。会話「も」必要というべきであって、プライオリティーからいったら、読み、書き、の次になることは少しでも仕事をしてみれば当たり前のことです。なのに、読解中心、文法重視の英語教育がいけないなどといっている最近の英語教育の主流、文科省の考えは、全く現実からかけ離れた空論です。小学校英語などはこの空論の最たるものです。Rebuck先生にお会いするのを楽しみにしているところです。